民と人間 : 24. 都市のような駅

私はほとんど揺れない面白くない列車に乗り、MoonValleyを目指していた。

普通なら、この揺れない列車のほうがいいのだろう。
しかし、私は違う。むしろそれなりに揺れたほうが楽しい。

この列車に乗るのはほとんど寝台列車の利用客ばかりで、席だけの車両はかなり空いていた。
普段から利用客は少ないため、安い値段にもかかわらず、ゆったりとした席になっていた。

足を伸ばし、2時間程度過ごす。

長いので寝ようかとも思い、目を閉じるとふと父親のことが頭に浮かんだ。
そして、なんだか緊張してきたのである。

今会社が大変なときに尋ねるわけで、その上しばらく会っていない。
どんな顔をされるかわからない。
その不安から、急に緊張してきたのである。

この緊張具合では、寝ることはできない。
私はその2時間、父親のことをずっと考えていた。

その2時間は、長いようで短かった。
列車内アナウンスがMoonValleyにまもないことを告げる。

荷物をまとめて忘れ物がないか確認すると、今度はちょうど到着のアナウンスが鳴った。

列車から降りると、そこは自分が出発した小さな駅とは比べ物にならないほどの大きな駅であった。
まるでそれが一つの街であるかのような。

さすがはIT都市である。駅の構内の設備はよく変更される。
前までは案内ロボットが居た気がする。今はしゃべるディスプレイに置き換わっている。

何度も訪れているはずなのに、いつも初めて来たような感覚を味わされる。

そして今回、特別見慣れなかったのは、やはり広告であった。
この駅には至るところに広告ディスプレイが置かれていたはずであった。しかしそれらはなくなっている。
消灯したディスプレイだと見栄えが悪いからであろう。ディスプレイではなく、額縁に収まった紙のポスターが代わりにに設置されていた。

GMS以外の広告サービスのものは、変わりなく広告ディスプレイが設置されたままだった。

よく設備が変更されるがゆえに、いつも出口は迷う。
ルートそのものは変わっていないのだが、目印となる設備が変わるせいでいつもわからなくなるのだ。

母との待ち合わせ場所である休憩スペースへと移動を試みる。

壁に貼られた案内図を携帯電話で撮影し、それを頼りに進んでいく。

エレベータを探すのすら一苦労であった。

なんとか4階のショッピングフロアに到達すると、また案内図を撮影して、休憩スペースを目指した。

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