民と人間 : 20. 料理

私は久々に食品が入れられた冷蔵庫の中をしばらく眺めていた。

これだけ沢山の食べ物が入ったのはどれだけぶりだろうか。
ほとんど水しか入っていなかった冷蔵庫である。

そして、数年ぶりの母の手料理である。久々の手料理はなんだかワクワクした。

私は長年使っていない広いキッチンを母とともに掃除することにした。
このキッチンは、もう長い間使っていないので、油汚れはほとんどなく埃ばかりが溜まっていた。

本当はお掃除サービスでも頼めば良いのだろうが、もうすでに18時を過ぎていた。もう夜遅い。そのまま掃除することにした。

大量にストックされているウエットティッシュを持ち出し、埃を丁寧に拭き取る。シンクの埃は、きれいに洗い流した。

ある程度きれいになったところで、母に料理をお願いした。

料理を待つ間、何をしていようか。私はとりあえず自室へ戻った。

未改造のGMSの支給PCがいくつか残っている。依頼もいくつか入っていた。
まずはこれらを改造しようと考えた。

PCケースの蓋を開ける。個人情報流出防止のため、SSDとHDDが中についていないので、それらを用意する。

現在依頼されている分は足りたが、もう部品が尽きてしまった。
しかし、部品を提供する企業がGMSのレンタルサーバーを使っていたせいか、サイトにアクセスできない。
父に会いに行くついでに仕入れてこなければ。

現在依頼されている分のPCに部品を取り付けて、次の作業に入ろうとしたとき、ちょうど母の呼ぶ声がした。料理ができたらしい。

この感覚は何年ぶりだろうか。とても懐かしい。

自室を出て、リビングに入る。

食卓には沢山の料理が並んでいた。
この光景…とても懐かしかった。何年も前はこの光景が日常だった。独り立ちした後は、毎日がフードデリバリーであったから。

初めて見る料理が並んでいる。なぜ米の上に魚が乗っているのだろう。

「これ? スシっていう料理らしいわ。ヤマト地方に行ったときに覚えてきたの。
もともとは違う星の料理だったけど、ヤマト地方に伝わって、それがヤマト地方の人たちの口にあったから広まったらしいわ。」

数十年前から、私達の星に宇宙貿易をしに他の星の生命体がやってくるようになった。それと同時に、宇宙船などこの星にないものや文化が流れてくるようになった。
このスシという料理も、その流れてきた文化の一つなのであろう。

「最近、ヤマト地方の料理が流行ってるのよ。ほら、このショウユっていう調味料も、最近はスーパーでも売ってるのよ。」

母はその茶色い液体を小皿に注いだ。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

WordPress.com でサイトを作成
始めてみよう
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。