民と人間 : 19. 異様

私は、母とともに中身がいっぱいの買い物カゴを持ちながら、レジに向かって歩いていった。

そこで、妙な光景を目にした。

レジはあるが、店員はみなそれを使わずに商品に貼られたラベルに記された値段を見ながら、そばに置かれたパソコンで値段を計算し、内容もそれに入力していた。
レジでバーコードを読みとったほうが速いのに。

理由はそれほど考えなくともすぐに分かった。
きっとGMSの影響だろう。
POSシステムが接続しているサーバーがきっとGMSが提供しているサーバーだったに違いない。

レジはあるのに、そのレジを使わずにそのそばのPCで値段を計算し、取引内容を記録する…
そんな異様なレジコーナーに私達は並んだ。

時間帯的にもやや混み合っている上、バーコードも使わず手打ちのレジであったため少々待たされてしまった。

ようやく自分の番になった時、私が財布の中身をチェックしていると、その時すかさず母がクレジットカードを取り出してレジ横に置いた。
輝かしい、一部の人しか持てない最高クラスのカードを。

ここは払うよ、と私が止めに入ると、いいのよ、と母も支払おうとする。
その光景に気づいたレジ係が

「あ、クレジットカード、現在使えませんので…申し訳ございません」

レジ自体使えないのだった。当然といえば当然だった。
そういうことで現金主義の私は現金を持っていたので、私が支払うことになった。

私達は支払いを済ますと、その異様なスーパーマーケットを去った。
もうあたりはすっかり暗くなっていた。

出口から出て、ふと周囲に目をやると妙に辺りが暗いことに気づく。
何だろうと少し見回したあと、あることに気づいた。

広告を表示している電光掲示板が消灯していた。
いや、消灯はしていない。よく見ると端に小さな文字がある。

「Unable to connect to advertisement server…」

広告サーバーに接続できませんでした。
GMSは広告も提供しているのだが、GMSが止まってしまったせいで広告も出なくなってしまったようだった。

いつもは目障りな広告でも、こうやって消えているとなんとなく寂しいような気もした。

ひとまず、以前よりも暗い街中で車に乗り込み、またディーゼル車の特徴的なセルモーターの音を周囲に響かせたあと家へ向かうべく発進した。

暗い中での運転は更に久しぶりである。それはかなり緊張した。

人間族の町を抜け、隣接する小さな町に到着する。ここに私の自宅があるのだ。

少し車をぶつけそうになりながらも、なんとか自宅の車庫へ駐車して、母とともに沢山の荷物を降ろす。

そして我が家の冷蔵庫には、久しぶりに食品が入れられた。

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