民と人間 : 18. 買い出し

母親は、自宅の空いている部屋に泊めた。
めったに人を泊めることなど無いため物置と化していたが、急いである程度片付けた。
母親は、私が片付けが下手なのはもちろんよく分かっているので、その状態で許してくれた。

元々共和国随一の美女と呼ばれた女性が、汚い物置のような部屋に泊まる…
なんとも皮肉なような気がした。

私は普段はほとんど毎日フードデリバリーを利用している。だが、せっかくなので今日は手料理を作ってもらうことにした。
とはいえ、料理などしないから冷蔵庫には数十本の水が入っているばかりだ。冷凍庫にも、アイスしか入っていない。

今は17時か。少し買い出しに行くことに決めた。
母親と一緒に買い物など、もはや何年ぶりだろうか。独り立ちしてからもうかなり経つ。

明日、父に会いに行くのに車を使う。車の運転は久しぶりだから、その練習がてら車で買い物に行くことにした。
愛車の「Dexter 64」に乗り込む。我が家では、なぜか家族は皆Dexter 64に乗っている。

Dexter 64は、共和国で最も一般的な車メーカーであるDexter社が、200周年を記念して生産した歴史に残る名車である。既に30年以上前の車ではあるが、今なお人気があり、生産が続けられている。

Dexter 64は様々なエディションがあり、私はその中でも、商業向けにフォーカスしており、ディーゼルエンジンを搭載したモデルに乗っている。ちなみに、母親は家庭用のモデル、父はスポーツカータイプのモデルだ。

車にキーを差し込み、回す。私の車は比較的古いものを入手して買ったため、カギは昔ながらの差し込んで使うタイプだ。
ディーゼル特有のセルモーターの音がしたあと、トラックのようなエンジン音が鳴り出す。うるさいようだが、私はこういう音が好きなのだ。

久々の運転であったが、無事エンストすることもなく走り出せた。

私は近所のスーパーマーケットまで車を走らせた。ここにくるのは何となく久しぶりな気がする。食事も日用品もすべてネットショッピングだったから。

早速入店し、母の買い物リストを確認する。
久々のスーパーマーケットに、商品の場所を探すのに苦戦しつつ買い物を始めた。

「料理は自分でしてるの?」

母が聞いてきた。

「いいや、全部デリバリー。」

「体に悪くないの?」

「いや、ちゃんと栄養バランスが調整されたメニューを注文してるよ」

嘘だが。実際はピザとかハンバーガーとかをよく食べる。週に1度程度は。
健康メニューを頼んでいれば、まさかこんなにまで太らない。

私は突き出たウエストを隠すべく、冬毛のまま毛刈りをしていない。毛は常に長いままなのだ。
毛が長いため、よく可愛がられる。
実際物凄く暑いのだが、汗をかいて痩せることができるのではないかと期待しつつ我慢している。
(尚、イヌ科の動物は汗をかかないが、どういうわけか、民は汗をかけるのだ。)

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